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【"人の琴線に触れるヒーリング作品の創作"を試みる】をテーマに掲げる- 森ノ音 -のサイトです。

朗読トーク #02 『よだかの星』宮沢賢治 著 癒しのピアノと朗読【528Hz|ソルフェジオ周波数】

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ようこそお越しくださいました。

- 森ノ音 -です。

 

今回は、朗読トーク

#02ということで、

 

先日投稿いたしました、

 

宮沢賢治

よだかの星

 

について語っていきたいと思います。

 

癒しのピアノと朗読『よだかの星宮沢賢治

朗読トークは、私が僭越ながら朗読させていただきました作品について、読む上で懐に秘めていたことや感想などをざっくばらんに話していくカテゴリとなっております。

 

まず初めに、今回から

『- 森ノ音 -|~Read Aloud~』というカテゴリを新しく作りました。

 

週1朗読「銀河鉄道の夜」の次の企画として生まれた- 森ノ音 -でしたが、第2弾の制作をする過程であまり頻繁に投稿できるような動画ではない…、と感じていたのも束の間、案の定制作が大幅に遅れてしまいました。「もうチャンネルの更新はしないの?」とコメントをいただいたりしたこともあり、急遽何か企画を作らなければと考え、今一度朗読を…ということで立ち上げることにいたしました。

 

しかし、普通に読むだけでは前回の週1朗読「銀河鉄道の夜」と同じことを繰り返すだけですし、差別化を図りたいところです。第一クオリティの高い朗読動画が溢れる昨今、森ノ音で制作する必要性もそこまで感じません。

 

そこで、森ノ音のコンセプト「人の琴線に触れるヒーリング作品の創作」という原点に立ち返り、朗読に癒しの音源である『ソルフェジオ周波数528Hz』を導入することで、質の良い睡眠導入はもちろん、作業時間やコーヒータイムの聞き流しでも使えるような朗読作品を制作してみてはどうだろうか?ということで実験的に実際に形にしてみたものが今回の動画です。ので、普段朗読や睡眠導入・作業用BGMをお聞きの皆様にも是非お試しいただけますと幸いです。

 

もちろん、朗読動画が増えた後に新しい展開も控えておりますので、楽しみにお待ちいただけますと幸いです。

 

補足ですが…『ソルフェジオ周波数528Hz』は、副交感神経を刺激し、自律神経を整え、ストレスの軽減や健康に役立つそうです。

こちらのリンクに詳しい記載がありましたので、宜しければ見てみてくださいね。

愛の周波数528Hz シリーズ[愛の周波数528Hz とは] / TEICHIKU ENTERTAINMENT

 

さて、前置きが長くなってしまいましたが、

ここからが本題です。

 

銀河鉄道の夜」とリンクする「よだかの星

おなじく宮沢賢治さんの代表作「銀河鉄道の夜」のクライマックスに「さそりの火」のエピソードが登場します。

”「ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときはあんなに一生けん命にげた。それでもとうとうこんなになってしまった。ああなんにもあてにならない。どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちに呉(く)れてやらなかったろう。そしたらいたちも一日生きのびたろうに。どうか神さま。私の心をごらん下さい。こんなにむなしく命をすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸(さいわい)のために私のからだをおつかい下さい。って云ったというの。そしたらいつか蝎はじぶんのからだがまっ赤なうつくしい火になって燃えてよるのやみを照らしているのを見たって。いまでも燃えてるってお父さん仰(おっしゃ)ったわ。ほんとうにあの火それだわ。」”

 

たくさんの命を奪う…、捕食することで生きてきたさそりが、今度イタチに自分が殺されそうになった際に自分の道程を思い返し、「生きるとは=まことのみんなのさいわいのために生きる」ことであると悟り、自分に訪れた痛切な想いを神様に祈ります。気が付くと、自分は美しい火になって夜の闇を照らしていたのを見たというエピソードです。

 

銀河鉄道の夜の中でも代表的なこちらのシーンは、よだかの星のラストシーンとの対比でよく取り上げられています。ただ、個人的には鷹の続きのエピソードのようにも感じたりしていまして、鷹がいまわの際によだかのことを詰めていたことを思い返し、自省したりするのだろうか?と思うとなんともいえない気持ちになります。

 

読むきっかけになったエピソードと感想

よだかの星」にであったのは、小学生の時。

学校の図書館の入り口付近の棚上によだかの星の絵本版がおいてあったのですが、

その絵本にカブトムシが描かれており、読むきっかけになったのはそのカブトムシでした。

 

…え??って話ですね^^;

当時、カブトムシが大好きボーイだった自分は家で6匹ほど飼育していまして、

ただカブトムシが出てきていたからという理由だけで読み始めたのでした。

 

そして、よだかののどにカブトムシが入った際に、ひどくもがいて喉をひっかいてバタバタするシーンがあるのですが…、

 

”また一疋の甲虫が、夜だかののどに、はいりました。そしてまるでよだかの咽喉をひっかいてばたばたしました。よだかはそれを無理にのみこんでしまいましたが、その時、急に胸がどきっとして、夜だかは大声をあげて泣き出しました。泣きながらぐるぐるぐるぐる空をめぐったのです。”

 

ここのよだかが泣き出す理由が、カブトムシにひっかかれたことによる痛さで大声をあげて泣き出したのだととらえておりました…!

 

当時の読解力、恐るべし。。国語の成績は最悪ですね笑

しかし、今どの作品を読んでもそんな誤読は起こらないと思いますし、そう考えると子供のころに沢山の文学を読み、沢山誤読し、大人になってから改めて読み返して深く理解する…という流れも素敵だなと感じ、あまり本を読むことが好きではなかった自分はもっと読んでおけばよかったかな?と、少し寂しい気持ちもします。そのほうが、きっと自分オリジナルの思考も育まれやすいでしょうし。(とはいえ、詩集はやたら読み漁っていました。作品ひとつひとつが短かったことと、情景が思い浮かぶような一文一文の奥深さ…などが理由だったのかもしれません?)

 

さいごの一瞬まで決してあきらめなかったよだか

個人的なこの物語の一番の読みどころは、ほんとうに生きづらさを抱え、理不尽な想いをさせられ続けていたよだかが、さいごの一瞬まで自分という命の火の輝きを絶やさんとして生き尽くした姿にあると感じます。

 

この作品では、家族であるカワセミ以外、深く心を通わせられる存在は描かれません。おなじ家族であるハチスズメは遠くに住んでおりなかなか会えず、同じ時を生きるほかの鳥には無視され、陰口を言われ、自分の倍以上の体格を持つ大きな鷹には名前を変えないと殺すといわれ、それならばもう遠い遠い空へ行って星になろうと考え、太陽にお願いするも星に頼めと流され、その星々にも身分や金が必要だと相手にされず、星になることもままならない…。

 

…それでも、

 

”よだかはもうすっかり力を落してしまって、はねを閉じて、地に落ちて行きました。そしてもう一尺で地面にその弱い足がつくというとき、よだかは俄にわかにのろしのようにそらへとびあがりました。

 そらのなかほどへ来て、よだかはまるで鷲が熊を襲おそうときするように、ぶるっとからだをゆすって毛をさかだてました。
それからキシキシキシキシキシッと高く高く叫びました。その声はまるで鷹でした。

野原や林にねむっていたほかのとりは、みんな目をさまして、ぶるぶるふるえながら、いぶかしそうにほしぞらを見あげました。

夜だかは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました。もう山焼けの火はたばこの吸殻すいがらのくらいにしか見えません。よだかはのぼってのぼって行きました。
 寒さにいきはむねに白く凍こおりました。空気がうすくなった為に、はねをそれはそれはせわしくうごかさなければなりませんでした。”

 

懸命に、最後まであきらめず、他力に頼らずとおくのとおくの空の向こうを目指します。

 

しかし…、

 

”それだのに、ほしの大きさは、さっきと少しも変りません。つくいきはふいごのようです。

寒さや霜しもがまるで剣のようによだかを刺さしました。よだかははねがすっかりしびれてしまいました。

そしてなみだぐんだ目をあげてもう一ぺんそらを見ました。

そうです。これがよだかの最後でした。もうよだかは落ちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、上を向いているのかも、わかりませんでした。 

ただこころもちはやすらかに、その血のついた大きなくちばしは、横にまがっては居ましたが、たしかに少しわらって居おりました。”

 

…と、よだかの羽では大気圏を突破して星々の場所まで行くことは到底難しく、そのまま地に落ちて死んでしまうのでした…。

 

けれども…、

 

”それからしばらくたってよだかははっきりまなこをひらきました。

そして自分のからだがいま燐りんの火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。

 すぐとなりは、カシオピア座でした。天の川の青じろいひかりが、すぐうしろになっていました。

 そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。

 今でもまだ燃えています。”

 

よだかの肉体としての一生は終わりを迎えました。

しかし、よだかはまなこ=真眼をひらくと、自分が青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見たのでした。

よだかは自分の力で懸命に羽ばたく中で、肉体を超え、意志や思考を超え、その先へと飛び立つことができたのでした。

 

この作品には人知を超えた切なる想いがあり、それが美しい文体で描かれているからこそ、現代でも人々の心に刺さるものがあり、残り続け、語り続ける名作になっているのだと感じます。

 

…なお、この内容は私の主観が混じっているということをご留意ください。

 

すっかり長くなってしまいました!

今後も、このような感じで読書感想文?考察?のようなスタイルで今後も更新を続けて参りますので、気が向いた時にチラッと覗いていただけますと嬉しいです✳︎

 

そして、作品に興味を持っていただけましたら、ぜひ本文を、読むのが大変だという方は、- 森ノ音 - の朗読版をぜひ聞いてみてくださいませ!

 

青空文庫 様 →→→ 宮沢賢治 よだかの星

森ノ音 朗読 →→→ 癒しのピアノと朗読『よだかの星』宮沢賢治 著

 

それでは今回はこの辺で!また次の機会にお会いしましょう❇︎

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